辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

あなたを守りたい



 「……………………あ……あの………………ベルンシュタット辺境伯様……お初にお目にかかります、ロザリアです。あの…………私、自分で歩けますわ…………」


 テオドール様の顔が目の前にある事に耐えられなくて、思わずそう言ってしまう。可愛くない女って思われたかしら…………でも首に抱き着くしかない形なのが恥ずかしすぎて顔から火が出そう…………


 「……初めてではないと思うが…………まぁいいさ。ここから城までの道のりは長いからね、それに冬の終わりとは言え寒いから、このまま連れて行っていいかい?この方が暖かいし顔が近いから声がよく聞こえて、話しやすいんだ」


 ニコニコと笑顔で言われるとダメって言えないわ…………



 「承知いたしました……」


 「うん、じゃあ行こう。しっかり摑まっていて」

 「きゃっ」


 そう言ってテオドール様はずんずん歩き始めた。私はバランスを取る為にテオドール様の首に腕を回すしかなくて…………お顔が近い上に美しいから直視出来ない。時折こちらを見てニコッと笑ってくれる。
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