辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「…………ベラトリクス様のお心は、私のような者には分かりません。でもきっとあなた様とお二人で我が国に帰りたかったはずです……」
「………………お母様……」
私はお母様に可愛がってもらった記憶がほとんどないわ……でもそれに何か理由があったのだとしたら、私はそれを知りたい。
「……この荷馬車はリンデンバーグへ向かっているのよね?」
「はい、仲間内でそう話していたのが聞こえましたから。奥様が眠っている内にもうリンデンバーグの城下に入っています……奥様を背負ってここから連れ出す事が出来ず、すみません…………」
「いいのよ、ぐっすり眠っている私を担いで逃げるなんて、物凄い腕力がなければ出来ないわ。レナルドがここにいてくれるだけで心強いもの……それに私のこの服装では、今逃げても足手まといになるだけね。私を攫ったという事は、私に利用価値があるという事なんだと思う……ひとまずお父様に会おうと思う」
「わかりました、私はこの者たちの仲間になりすまし、城内に潜伏いたします……状況を陛下やベルンシュタット辺境伯にもお知らせしなくては」