辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
玉座の間
皆、勢揃いね…………両開きの扉が開いて私が入ると、王族たちは一斉にこちらを向く。
それと同時に王妃殿下や側妃達、兄弟姉妹は皆、一様に私に憎しみの目を向けていた。一体どうして?ボルアネアに厄介払いしたのは自分たちなのに――
私は兵に腕を引かれて、レッドカーペットの中央まで連れて行かれた。
「ようやく戻ったか……ロザリアよ。元気そうだな」
「お父様もお元気そうで…………」
「はっ!お元気そう、ですって?我らがどんな生活を強いられているかも知らずにぬけぬけと…………そなたは随分ボルアネアで優雅な生活をしているようではないか」
突然口を開いたのは王妃殿下だった。私があちらでどんな生活をしていようと、皆には関係ないわ。私を自分たちの保身の為にボルアネアに差し出したのは皆なのに…………
「……私は与えられた生活の中で、慎ましく生活をしているだけです。この結婚は両国で決めたものではないのですか?」
「リンデンバーグはボルアネアに敗れ、要求を飲まないわけにはいかなかったのだ。好きで差し出したのではない……」
「あちらから連れて来たボルアネアの王女の子供である私は、政治の道具として使い勝手が良いんですものね」
「無礼な…………口を慎め!」