辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 ヴィーゴははにかんだ顔でそう言ってくれた。私はリンデンバーグに連れて来られて、初めて胸が温かくなった――――いい人も沢山いるわ。
 
 
 「ありがとう、ヴィーゴも元気で…………」

 「奥様、行きましょう」


 レナルドの言葉に私は頷き、私たちは先に地下牢を出る事にした。途中の地下階段ではレナルドによって気絶させられている兵たちが、ぐっすり眠っている。起こさないようにそっと階段を上って行った。


 地下階段から出ると玉座の間から歩いてきた王城内に出るのだけど、城は閑散としている。あの牢番もそうだったけど雇われ者ばかりで、正直この城はもう城としての機能を果たしていない。


 私がここに捕まったままだとテオ様の足を引っ張ってしまうから、ひとまずこの城を出なくては。

 何よりテオ様の元へ帰りたい。


 こんな危ない事をしようとして、怒るかしら…………怒られたとしても会いたい――――


 「……奥様、こちらです」


 レナルドは脱出の経路を確保してくれていたのか、私を導いてくれた。城の裏側に回ると、裏は鬱蒼とした森が広がっている。

 今はもう日も落ちていて夜だし、正直どこに何があるかがはっきりと分からず、森の中に国境の関所もあるのだけど、夜の森では何が起こるか分からない。それに正面から行ったら捕まるんじゃ……
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