辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「…………そろそろいいですか?旦那様に奥様……」
レナルドが後ろから声をかけてきて、初めて皆の存在に気付く。兵達も…………こんなに恥ずかしい事があるかしら…………ますます顔に熱が集まってくる――
「……レナルド、もう少し空気を読んでくれてもいいんだぞ」
「十分読みましたけど。ベルンシュタット軍が前方からも進軍しているんですよね?早く後方からも到着しないと、あちらさんにバレてしまいますよ」
ベルンシュタット軍が?
「ロザリー、君に話している時間があまりないんだ。このままベルンシュタットへ戻っていてくれ。私は……」
「私も一緒に行きます!」
「しかし…………」
「テオ様と離れたくない…………それに私の家族の問題でもあるから、最後まで見届けたいの……邪魔にならないようにするから。ダメ、ですか?」
私は覚悟を決めた顔をした。戦だから戦えない者がいれば邪魔になるのは分かっている……でも自分の家族と決着をつけなくては、私は前に進めない。
「…………分かった。でもその代わり、私の後ろにいる事。絶対に前に出ないでくれ……」