辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
開門
テオ様はさすがに足が速く、私を抱き上げた状態にも関わらず、誰よりも早く走っていた。日頃から鍛錬していると言っていたし、お体も大きいから強いとは思っていたけど、足も速いなんて凄いわ……冥王と呼ばれる所以が分かった気がした。
その後ろをレナルドが追いかけてきて、更に後ろにベルンシュタット兵達が続く――――
兵達は二人の速さにはついて来られないようで、少し距離が空いてしまっている。レナルドも速いのね……こんなに凄い人なのにお城の庭師に扮していたなんて…………庭師として接していた時の事を思い出して、ちょっぴり自分が恥ずかしくなった。
私とレナルドが歩いて来た通路は、走るととても短く感じるくらいにあっという間にリンデンバーグ城の裏側に出る出口に辿り着いた。
「私が先に出ます」
レナルドがそう言って、蓋のようになっている扉を押し開けた――
辺りをキョロキョロ見ているレナルドは、人気がないのを確認してテオ様と私に頷く。
「裏側には誰もいないようだ。このまま散り散りになり城内に入る。敵兵は全て捕縛しろ。王族は見つけ次第一か所に集めるように、いいな」
「はっ!」
テオ様が兵達に的確に指示を出し、私を下ろして先に出て行った。私はテオ様の後に続いて通路から出ると「私の後ろから離れないでくれ」とテオ様に言われる。