辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 私は小さく頷く……いよいよね。意気込んで動こうとしたその時、うっそうと茂る草むらの向こう側から誰かが歩いてくる音が聞こえた。



 テオ様やレナルドにも聞こえているようで、皆リンデンバーグの者かと警戒している…………夜だし辺りがあまりよく見えないから余計に恐い…………複数の音が聞こえるわ………………リンデンバーグにもこんなに兵が残っていたのかしら――


 
 ――ガサガサッガサッ――――


 草をかき分ける音がした瞬間「そこで止まれ、リンデンバーグの者か?」とテオ様が威圧感たっぷりに声をかけた。


 
 「閣下?!」



 声を聞いてテオ様だと分かったのか、草むらから主を呼ぶ声が聞こえる…………出て来たのはベルンシュタット兵だったのだ。


 
 「……お前たちか。前方の我が軍の者だな?という事は…………」


 「合流出来て良かったです!閣下が来る前に城門前までは制圧が完了致しました。我々は城下街の方から回り込んで、城内に潜入した特殊部隊の者です。リンデンバーグは城内に兵を戻して籠城の姿勢を見せているものと思われます。城下にも人がほとんどおりませんでしたので、そこまではすんなり……城下町に配置されていました兵などは捕縛しております」
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