辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 レナルドはそう言って手をひらひら振っていた。右の門番が立っていた方には開門のレバーがある……これを上にあげれば門が開く仕組みかな?持ち場を離れるなんて普通はしないものだけど、統率の取れていない兵だという事がすぐに分かる。


 「これって門のレバーってヤツです?」

 「ん?ああ、そうだ。ちょっと古い仕組みだが、上にやるだけだから簡単なんだ。この城門が閉じていれば何者も入っては来られない」

 「閉まっていれば…………じゃあ、開いたら入って来られますよね」


 レナルドはニッコリ笑ってレバーに手をかける――


 「ちょっ……待て……や、やめるんだ………………」

 
 「待てません。もう十分待ったと思うんですよね。そろそろ我が国に全て還してもらわないと」


 レナルドはレバーを一気に上げた――――――城門前で待機していたベルンシュタット兵の声が聞こえる――


 「ベルンシュタット兵の皆さーーん、お待たせしました!」


 レナルドがそう声をかけると、ベルンシュタット兵たちは我先にと一斉に城内に入ってきた。


 次々と押し寄せるベルンシュタット兵の数と迫力に圧倒され、門番たちはすぐに手を上げて投降する。
< 192 / 212 >

この作品をシェア

pagetop