辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
落城 ~テオドールSide~
馬を駆り、無事にリンデンバーグ城の裏側の国境付近に着くと、古くて使われていない地下通路への入口を地面に見つける。
ここだな…………上には草が幾重にも覆い被さっていて、正直場所を特定していなければ見つける事は不可能だっただろう。どのくらい長い間使っていなかったのか……中は使える状態なのか?レナルドは調査済みとは言っていたが――
疑わしい思いはあるものの、ヤツが陛下の優秀な護衛だった事を考えると大丈夫だろうという結論に達し、入る事にした。
入口は錆びていて、私一人でも開けるのに力がいるくらい重かったが……あの王族たちでは無理だっただろうな。中は案の定ボロボロで、全く使われていなかった事がうかがえる。我が国と長い間戦をしていたにも関わらず、ここの存在に全く目もくれていないというのは、怠慢以外の何物でもないな。
恐らく今の王族でここの存在を知っている、学んでいる者はいないという事だろう。
我がベルンシュタットでは考えられない事だ。戦というのは、ありとあらゆる手を考え、使っていかなければならない。
そんな事を考えながら地下通路を進んでいた。
ロザリアは大丈夫だろうか…………レナルドが付いているとは言え、リンデンバーグの王族には嫌な思い出しかないはずだ。もし暴力などを受けていたら――――
今はそれについて考えるのを止めておこう……彼女の強さを信じるしかない。
自分の嫌な考えを振り払うかのようにスピードを上げて走っていると、遠くから足音が聞こえる…………