辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「止まれ」
兵達にストップをかける。足音からすると一人だな…………誰だ?一人なら私でも相手が出来る。
「お前たちは下がっていろ」
「は……」
どんどん近づいてくる足音――――足が速い――そして角を曲がってきたのは、レナルドだった――――
「うわっ!え…………旦那様?!」
「…………お前か………………」
「お前か…………じゃないですよ!いいタイミングです、私が来た道をたどっていけば奥様が…………」
私はレナルドの言葉を最後まで聞く前に走り出していた――――この先にロザリーが?逸る気持ちを抑えて全力で走って行くと、逃げようと必死に走るロザリーの姿が見える。
「ロザリア!」
咄嗟に叫ぶと、ロザリーは私の声に気付き、振り向いて私に向かって走って来た――――