辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
そして私に飛びつき、泣きながら私の名前を呼んでいる…………私は愛しい妻の温もりと匂いを感じ、心底安心したのだった。
良かった…………ドレスがボロボロで何かされたのかと思ったのだが、ロザリーに大きな怪我などはなさそうだな――
彼女はなかなか泣き止まずにずっと私に頬ずりしている…………あまりに愛おしくてキスをすると、一気に涙は引いたようだ。そんなところも可愛すぎるな。
私はロザリーをベルンシュタットへ帰し、リンデンバーグを滅ぼす為に城内へ侵入するつもりだとロザリーに告げた。
しかし彼女は自分も行くと引かなかった。いつもなら私に遠慮したり、引く事の多いロザリーが、絶対に行くと言ってきかない…………覚悟を決めたその顔が可愛すぎて、冷静な判断が出来そうもなかった。
私が何に代えてもロザリーを守る――――
彼女を抱き上げて、リンデンバーグ城を目指し、地下通路を走った。
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レナルドが城門を開けに行き、無事に前方からベルンシュタット兵が押し寄せ、城内を制圧していく…………ようやくロザリーやベラトリクス様がリンデンバーグから解放される時が来たのだな。
私とロザリーがホールに着くと、我がベルンシュタット兵に取り囲まれている王族達の姿が見えた。