辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「閣下!王族達は皆こちらに……」
「…………ご苦労だった」
この者たちがロザリーの家族………………似ても似つかないくらい醜悪な顔をしている。我らが憎くて仕方ないのだろう。だが――――それはこちらも同じだ。
「そなた達の身柄は、これからボルアネアに運ばれる。そして我が国の法によって裁かれるのだ。陛下が正しい裁きを下してくださるだろう……ベラトリクス様を襲い、連れ去った事、ロザリア共々幽閉した事、我が妻を連れ去った事、その身を以って報いを受けるがいい」
「…………私は国王だ……他国の法の裁きなど受けぬ」
「寝言は寝てから言うんだな、リンデンバーグ王よ。貴国は我が国に落ちたのだ。滅ぼされた国の法など適用されるわけがない」
ここまで浅はかだと笑えてくるレベルだな……そうやって法を勝手に解釈をし、ベラトリクス様とロザリーの人生をこの男が奪ったのだと思うと怒りがこみ上げてくる。
「閣下!私を側妃にしてくださいませ!私ならロザリアよりもあなた様の望みを叶えてあげられますっ」
「これ!お止めなさいっ」
王妃が必死に止めているが、第一王女は私の脚に縋り付くのを止める気配はない……ロザリーが不安そうに見ている。私はロザリーの手を握り、大丈夫だと頷くと少し頬を赤らめた。こんな状況だと言うのに妻が可愛すぎるな――