辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
最後のお別れ
お父様たちが集められているホールに向かうと、そこにはベルンシュタット兵に囲まれて膝をついているお父様や王妃殿下、側妃達や兄弟姉妹達が揃っていたのだった――
先にテオ様がお父様達に伝えるべき事を伝えている。
お父様はまだ国王だという気持ちが強いのか、ボルアネアの法では裁く事は出来ないと仰っている…………もうリンデンバーグはなくなるというのに……その事実を受け入れられないのね。処刑されるよりも何よりもお父様にとって、国王ではなくなる事、国がなくなる事が何より堪えるのかもしれない――
そしてお姉様がテオ様に縋り付いている。私はびっくりして思わずテオ様の手を握りしめてしまったのだけど、テオ様が大丈夫と言わんばかりに頷いてくれたので、心が温かくなった。私の不安を察してくれているのね。
テオ様はお姉様に対して、とても厳しい態度を崩さなかった。
私の事も家族に言ってくれたり、本当に大事に想ってくれているのが伝わってきて、泣きそうになる…………最後に私を抱き上げて頬にキスをくださった。
嬉しくて涙は引っ込んだけど恥ずかし過ぎて…………私たちの仲を見て、お姉様は倒れてしまう。
それでもテオ様にばかり任せてしまって終わり、ではいけない…………私も伝えるべき事を伝えなければ。私はテオ様の腕からおりて、お父様や皆の前に出た。
「お父様、王妃殿下や皆さまも、お元気で。もう会う事はないかと思いますが、これだけは伝えたくて…………私をベルンシュタットにお嫁に出してくださって、ありがとうございました。それだけは皆に感謝しています、ベルンシュタットで私、幸せになりますね!」