辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「…………はい。私はベラトリクス様に命を救って頂いたのです。あのお方のおかげで今の私がいる……」
命を救って…………まさか………………
「奥様の考えている通りです。当時見習いの王宮騎士だった私は、ベラトリクス様の遠乗りの護衛に入っていました。そこで何者かに襲われ……他の騎士たちは皆殺されましたが、ベラトリクス様は何とか私を逃がそうとして捕まり、そのまま…………私は何とか王宮までたどり着き、陛下に状況を説明して………………ベラトリクス様の捜索にもずっと携わっていました。あのお方が見付かって、リンデンバーグに潜入した事もあります。でもその時にはもう……」
「ベラトリクス様は動けないほど弱っていたのだな」
「はい。何としても陛下の元へお連れしたかった……ここまで来るのに長い時間がかかりましたが、ようやく……」
「………………レナルド、ありがとう。きっとお母様も喜んでいるわ」
私がそう言うと、レナルドの目から次から次へと涙が溢れてくる。ハンカチを持ち合わせていないのでドレスの布を少しちぎって渡してあげた。レナルドはそれで顔を拭き、鼻をかんでいる。
「奥様……奥様にお仕え出来たのもきっと、ベラトリクス様が導いてくださったのだと思います。旦那様だけじゃ心許ないので、私も庭師としてお側にお仕えしますね」
「なっ……それを許可した覚えはないぞ!」
「陛下が許可を出してくださいました。国王陛下公認という事で、よろしくお願いします」