辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
最終回:皆に見守られながら…
応接間の中には陛下だけではなく、王妃殿下も隣に腰をかけていた。お二人は私の顔を見ると立ち上がり、わざわざ私の元へ来て挨拶をしてくれる――
「よく来てくれましたね、あなたの事は陛下から聞いていますよ。ベラトリクス様の事も知っています……今までよく頑張ってこられましたね」
王妃殿下は私の頭を撫でながら、とてもお優しい言葉をかけてくれて…………気付いたら涙がとめどなく流れていた。お母様に言われているみたい。私の涙に皆が慌ててしまったので、私は泣き笑いのような表情になった。
「お会い出来て嬉しいです」
その日、リンデンバーグでの暮らしやお母様の事、私の事など、沢山の事をお二人にお話しした。
お二人は時折お母様の話で険しい表情になる事もあったけど、話を聞けて満足していらっしゃる様子だった。リンデンバーグの王族はおそらく国王、王妃、側妃たちは処刑され、その子らは離島に流され、幽閉される事になると伝えてくれる。
実の父親と兄弟姉妹たちは血が繋がっているので少し胸が痛むけど、もうこんな事を繰り返さない為には、これで良かったのだと思う。
リンデンバーグ国は国として機能していないとは言え、このままでは無法地帯になってしまうので、ベルンシュタットで管理するという形はどうかと提案された。私は自分が生まれ育った国でもあるし、あそこで生活している民が少なからずいる事を知っているから、そうさせてもらいたいとお願いした。
領地の経営学などを学んで、住みやすい土地にしたい…………そんな思いが私の中で湧いてきていたのだった。