辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

 私は噓偽りのない気持ちを述べて、頭を下げた。ずっとテオドール様に感謝していたわ、エリーナを見逃してくれて。彼女が助かるなら、私の命などどうでも良かった。


 「…………うん、あなたならそう言うと思ったよ。でも私の妻になるからには、自分の命も大切に思ってほしい。私はロザリアが死んだらとても悲しいよ」


 テオドール様が?まだ会って間もないのに?

 そんな事を言ってくれるのはエリーナとテオドール様ぐらいだわ…………でも社交辞令であってもその言葉が私には、涙が出そうなくらい嬉しくて……とても嬉しくて泣き笑いみないな表情になってしまった。


 「あなたの事は私から陛下にお願いしたんだ。失礼かもしれないと思ったけど、あなたの事は少し調べさせてもらった……リンデンバーグでの事も。早くあそこから連れ出してあげないとって思って…………」


 テオドール様は全て分かって、私の身柄を引き取ってくださったというの?

 なんて優しいお方なのかしら…………こんな人を好きになるなと言う方が無理だわ。
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