辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
テオ様が私の手の甲に口づけて「では参りましょう、ロザリア姫」と言ってくださる。
その言葉で、デボンの森で私を見逃してくれた時の事が頭に思い出された。私はエリーナを守る事に必死で……冥王と呼ばれるに相応しい威圧感と存在感を示し、去っていったその人と結婚する事なんて、その時は想像もしていなかったわ。
嫁いだ先でテオ様に沢山甘やかされて、愛されて、皆が優しくしてくれて、私の出自や国王陛下が伯父様だったという事が分かって……リンデンバーグからも解放され、今日最愛の人と本当の夫婦になる。
ここまでの道のりを思い出しながら、隣で微笑んでくれるテオ様の腕に手を置き、二人で式が行われるホールに移動した。
お母様、見ていてくれていますか。
ロザリアはお母様の国で生き、お母様の分も幸せになります――――
私とテオ様の式には国中の貴族が参列してくれて、そこにはもちろん国王夫妻のお姿もあった。ステファニー様やヒルド様のお姿も…………皆に祝福され、神の前で誓いの口づけを行う。
16歳の誕生日の時は二人きりだったけど、今日は沢山の方が祝福し、見守ってくれていた。
自分がこの国に認められた感じがして、身が引き締まる思いがする。
式の後、王宮の大きなバルコニーに出て民の前に姿を現すと、私とテオ様は割れんばかりの歓声に包まれた。