辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
グリンゴールは涙目で、頭を下げてきた。そんなに喜んでもらえるとは思わなくてびっくりしたけど、喜んでもらえたなら伝えて良かったって事ね。
「では、続きをしていきましょう!きっと奥様が作ったと知ったら旦那様はお喜びになると思いますからね!」
「……うん。だといいな…………この発酵した生地を5個に分けるのね?」
「はい。そして…………」
グリンゴールの教えの通りに作っていったら、かなり時間がかかったけど、なんとかパン焼き窯に入れるまで辿り着いた。
「パンって手間と時間がかかるのね!何回も休ませて発酵させたり……こうして作ってみないと、大変さが分からないものだわ。ありがたく食べないとね」
「奥様の手際がいいから、あっという間ですよ!このパンを夜に旦那様にお出ししましょう~」
「いいですね!」
「……ふふっ楽しみだわ」
窯に入ったパンを眺めながら、焼き上がりを想像するとワクワクが止まらない。
「何が楽しみなんだい?」
「ひゃっ!」
突然耳元で声がしたのでびっくりして、変な声が出てしまった…………振り向くとテオドール様がニコニコしながら立っていたのだった。