辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

 「ご、ごめんなさ……」

 
 私が謝ろうとした瞬間、人差し指を私の唇に当てて言葉を遮った。


 「…………謝らないで、嬉しいんだから。とても嬉しくて言葉が出てこないくらい」


 ああ、このお顔は喜んでいらっしゃるお顔だわ…………良かった…………このお顔が見たくて頑張ったから、グリンゴールに感謝しなくては。

 
 テオドール様は体は大きいけど普段はとても穏やかで、私はクマさんのようだと思っていて……笑っているお顔がとても可愛い。男性に可愛いだなんて失礼よね……しかも私みたいに年齢が遥かに下の女性に。

 でも可愛いと思ってしまう。そして時々お顔を抱きしめたくなる衝動に駆られるの……我慢するのが大変。


 そんなやり取りをして夫婦の部屋に到着すると、ソファに腰を掛けるけど、私は膝に乗せられたままの状態だった。最近はもうこれが定位置になってきていて、食事の時以外はこんな感じでいる事が多い。

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