辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「…………グリンゴールのお料理が美味しすぎて……彼にはお礼を言いました。いつもとても美味しい料理を毎回出してくれるから……今日パンを作ってみて、料理って凄く大変なんだなって感じたんです。」
「うん……」
「でも出来上た時の喜びが大きくて…………またテオドール様の為に作ってもいいですか?」
「…………………………」
テオドール様がまた手で顔を覆われてしまった…………これは嬉しい時の表現だったかしら……
「……ごめん、嬉しくて」
やっぱり。良かった……謝らなくて。ふにゃりと笑ってそう言ってくれたので、私はホッとして笑い返す。
そこへグリンゴールが焼き立てのパンを運んでくれた。
――――コンコン――――
「旦那様、奥様、焼き上がりました~~とっても香ばしい焼き上がりです!」
「わあ…………美味しそう!成功したのね、グリンゴール!」
「はい!奥様はパン作りの才能がおありですね~最初からこんなに上手に出来るなんて、素晴らしいです!」
私とグリンゴールは喜びのあまり二人で手を取ってはしゃいでいると、テオドール様に腕を引かれて、また膝に乗せられる形になってしまう。
「ロザリアは、教えればきっと何でも出来るようになるよ。私が教えてもいい」
「旦那様……大人げないです…………」
グリンゴールに大人げないと言われたテオドール様は、顔を赤くしてパンを頬張り始めた。そして顔を輝かせて美味しいと褒めてくださったのだった。