辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

 庭師に聞きに行ったエリーナはすぐに了解を得て戻ってきたので、私たちは庭園に向かう事にした。


 
 庭園に着くと、まだ寒い冬を越えたばかりの植物たちは、寒さに耐えながらも少しづつ芽が出始めていた。越冬の為に冬支度で縄で縛られていた木々は、縄が解かれて解放されたかのように枝は外に成長し、新芽を付け始めている。


 春なのね…………植物を見ると季節を感じる。自分が生きているって感じられるから、とても好きだった。


 このお城の庭園は大きくはないけど、しっかりと手入れされていて、枝なども綺麗に剪定されている。大きな常緑樹は丸形だったり色々な形に整えられているし、薔薇はまだ葉だけの状態だけど、アーチに枝が巻き付いて余分な枝は整えられていた。

 これから蕾を付けて咲き始めるのね……余分な枝がないから綺麗に花が付きそう。


 「こんにちは、綺麗に整えられているわね。今は寒肥しているの?」

 
 いつも来ている庭師のお兄さんに声をかけて聞いてみた。ここを取り仕切っているにしては若いと思うけど……庭師と言えばご老人というイメージだった私は、あまりに若くて最初びっくりしたのだった。
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