辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「あ、こんにちは、奥様。そうです、よく知っていますね。そろそろ芽が出始める頃なので、元気にしてあげないと……」
「……私もお手伝いしてもいい?」
「え?!それは…………大丈夫です、けど……」
きっと庭師のお兄さんは、主の妻に庭仕事をさせる事に戸惑っているのね。
「私なら大丈夫。土いじりは慣れてるから」
「…………はぁ……そうですか。ではお願いします」
「ありがとう!」
手伝わせてくれる事が嬉しくて、声が弾んでしまったわ。いけない、淑女らしからぬ行動ね…………でも土いじりが出来るのが嬉しくて。お手伝いをするにあたって、汚れてもいい服とエプロンを着用し、髪を纏めてグローブをして……しっかり準備をして取り掛かった。
「この子は根元?」
「そうです、このくらい撒いてください」
「……分かりました」
庭師のお兄さんの指示に従って、寒肥を撒いていく…………これからまた夏にかけて元気に育ってほしい、そんな願いを込めて。
そして寒肥を撒きながら、菜園について庭師のお兄さんに話してみた。