辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 「では今日は、奥様がやりたいと言っていた菜園の場所を整えましょう」

 「菜園?」


 あ、そう言えばテオドール様に菜園の話をしていなかった事を思い出し、慌てて説明する。


 「私がやりたいって言ったんです。もともとリンデンバーグで農作業を手伝っていた事があって、こちらでもそれが出来れば嬉しいなと思って……レナルドさんが小さな菜園なら出来そうだと言ってくれたので、やりたいなと思ったのですが……ダメ、ですか?」

 「いや、ダメではないよ…………ただ聞いていなかったからビックリしただけだから」

 「良かったです…………昨夜伝え忘れてしまって、申し訳ありません。テオドール様のお城で勝手に動こうとしてしまって……」


 「ロザリア、私の城ではなく、私と君の城だよ。君は好きに動いていいんだ。ただ私は伝えられていない事が寂しかっただけで、怒っているわけではないからね」


 私の頬に手を添えながら、目線を合わせて優しく微笑んでくれる……テオドール様には嬉しい気持ちをいただいてばかりだわ。

 
 「ありがとうございます。じゃあテオドール様もご一緒に菜園を作りましょう」

 「では、ここに大きめの岩を集めておいたので、この部分を囲って菜園用の畑を作りましょう」
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