辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
陛下は温厚な方で戦を好まないのに他国が勝手に仕掛けてくるのだから、頭が痛い話だ。むやみに戦いたいわけではない。しかし戦となれば我がベルンシュタット家は一番にお呼びがかかるし、先陣を切って国の為に戦う……そして国に勝利をもたらす。
英雄扱いだ。でも私の心は……そんな事を繰り返す日々の連続で、段々と戦場に立つ度に心が動かなくなっていった。
元々無口な人間だったのにさらに無口になっていき、いつしか戦場での私は冥王と呼ばれるほどになる。
社交界に出ればそれなりに女性は寄ってきた。しかし何の興味も湧かず、すぐに退席して帰ってきてしまう。誰と話しても何をしても心が動かない…………戦いたくないと思いつつ、自分には戦場しか居場所がないのかと人生に虚しさを感じながら、顔は更に無表情が張り付くようになっていた。
我がボルアネアはさらに勝利を重ね、領土も拡大してきたので戦いを仕掛けてくる国はほとんどなくなってきた。そんな中でもリンデンバーグとはずっと小競り合いが続いていて、もうかれこれ3年は緊張状態が続いている。
この戦いは、正直何も生み出さないし、お互いに何のメリットもない。
続ければ続けるほど国力を消耗し、むやみに民を殺すだけだ。我が国が本気を出せばリンデンバーグを潰す事は造作もない……でも陛下は殺し合いをしたいわけでも支配したいわけでもないお方だから、話し合いで解決し、政治的に付き合っていければと思っていたのだが、どうにもリンデンバーグは好戦的で引く事を知らない。