辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
こちらの提案にはまるで聞く耳を持たないし、話し合いが嫌いだ。上に立つ者である王族が強欲で、民がそれで死のうがどうでもいいと言った感じに嫌悪感が募る。
陛下にリンデンバーグを潰す事をどれだけ進言した事か……私は上に立つ者としては適していないのだろうな。
陛下はあくまで両国の民の事を案じていらっしゃった。
しかし先日、リンデンバーグが話し合いに行った我が国の使者を殺害して、遺体を送り返してきたのだ…………ボルアネアの貴族たちは猛反発し、今すぐ潰してしまおうという話になった。私もそれに賛成した……しかし陛下はそれを是とはせず、ひとまずデボンの森まで制圧せよ、という指令が下った。
デボンの森まででもリンデンバーグにとっては、大きな痛手だろう…………手前の国境付近は、強固な守りを誇っていると自慢していたからな。
私はそこを奇襲する事で、ヤツらの鼻をへし折ってやった。
油断していた敵はどんどん総崩れし、敵兵は後退していった。デボンの森まであっさり制圧出来そうだな…………そう思って森に入って行った時に一人の女性と少女が目に入る。
こんなところに何故………………それに少女の方は貴族のような雰囲気だ。私はひとまず声を掛けた。