辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
危なかった――――
先ほど、女性が姫様と叫んでいたので、この少女は王族なのだろう。王族が見つかればどんな目に合わされるか……私に剣を向けられても怯むどころか挑んでくるような目をしてくる。
一体どういう風に育てば、このような勇猛な少女に育つのだろうか。死を全く恐れていないこの少女に興味が湧いてきた。
「……命が惜しくはないのか?」
「私の命でよければ、いくらでも差し上げます。だからこの人には手を出さないで…………」
「…………………………」
そうか、死を恐れていないのではなく、この世界に何の思い入れもないのか…………私と同じだな。しかしこの子はまだ少女なのに悲しい目をしながらも必死に女性を守ろうとしているとは。
久しぶりに私の心が動いた瞬間だった。
「……そなたの名は?」
「ロザリア……ロザリア・リンデンバーグ。この国の第5王女です」