辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

 やはり王女…………しかし第5王女とは、存在を聞いた事がないな…………どの道ここにいては危険だ。

 
 
 「……ロザリア姫、あなたの心意気に免じてこの場は見逃そう。その女性を連れて早くこの場を去るがいい……直にここも我がボルアネア国が制圧する」


 
 「え?あ………………感謝します!エリーナ!」

 「はい!姫様…………」


 ロザリア姫は女性を立ち上がらせてここを去ろうとした時、最後に私の名を聞いてきたので名前だけを伝える。この国はいずれ我が国が制圧する事になるだろう。

 その時あなたは怒るだろうか、私を憎むだろうか……それとも…………私はデボンの森まで制圧した後、ロザリア姫の事を極秘で調べた。


 すると王族でありながら、王族として扱われず不遇の人生を歩んでいる王女の存在が浮き彫りになる…………なんて事だ、彼女が生に執着していない理由が分かったのだった。


 リンデンバーグを潰す理由が出来た事と、久しぶりに自身の心が動いた事で、私の体中に喜びが溢れているのが分かる。



 あの少女は必ずリンデンバーグから解放させる。



 さっそく陛下の元へ行き、戦の事後報告をした時に私は進言した。

 
 「もしリンデンバーグを必要最低限の被害に止めて私が制圧した暁には、リンデンバーグの第5王女を妻に迎える許可を頂きたいのです」


 
 陛下は私の顔をジッと見つめ、何かを思案している…………そして一言「やってみるがよい」と言って下さった。私は陛下に感謝し、すぐに作戦を練る為に動き出した。

 
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