辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
 「……命が惜しくはないのか?」

 「私の命でよければ、いくらでも差し上げます。だからこの人には手を出さないで…………」

 
 「…………………………」
 

 私を見定めるかのように見た後、剣を戻したので、私はほんの少しだけホッとしてしまった……でもまだ危険が去ったわけではない。


 「……そなたの名は?」


 もう姫様と言われてしまったし、隠しておく意味はないと判断して、私は名を告げた。


 「ロザリア……ロザリア・リンデンバーグ。この国の第5王女です」


 大男は一瞬目を見開き、馬の手綱を引いて私たちに背をむけた…………


 「……ロザリア姫、あなたの心意気に免じてこの場は見逃そう。その女性を連れて早くこの場を去るがいい……直にここも我がボルアネア国が制圧する」


 
 「え?あ………………感謝します!エリーナ!」

 「はい!姫様…………」

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