辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
ロザリア姫はあの時より少し大きくなり、女性らしい体つきになってはいたが、やはり小柄でとても軽い…………私に抱き上げられて美しい髪を風に靡かせ、大きな目を見開いてこちらを見ていた。瞳の色は薄い紫色で、太陽の光を浴びて輝いている。
小さな唇は果物のように瑞々しく赤みをおびていて、化粧など何もしていなくとも天使のように美しかった。
混乱し、怯えている姫に優しく微笑んで見せる。
「ようこそ、ベルンシュタット辺境伯領へ。お待ちしておりました、ロザリア姫」
すると、姫はホッとした表情をしてぎこちなく笑った。
……………………早く城に連れて行かなければ。このような表情をあまり自分以外に見せてはいけない。そして姫は衝撃的な事を言った。
「……………………あ……あの………………ベルンシュタット辺境伯様……お初にお目にかかります。ロザリアです。あの…………私、自分で歩けますわ…………」