辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
お初にお目に………………まさか、覚えていない?ショックは大きかったけど笑顔を崩さずに気を取り直して、城に案内する事にした。私の方が遥かに年上なのだから、彼女の前では大人の余裕のある男性でありたい。
まだ寒い中で姫を歩かせるのは忍びないから、このまま抱いたまま連れて行こう。顔も近いから声も聞き取りやすい。うん、それがいい。
私が笑顔でそう言うと、真っ赤な顔をして小さな声で「承知いたしました」と言ってくれた…………これは心臓に良くない、私の心臓がもたない。
城に着くと兵達とミルワースが待っていた。姫はミルワースにも丁寧に挨拶をしてくれていたが、ひとまず二人で話せる場所に行きたかったから先を急いだ。
姫にデボンの森の事を聞いてみると、さっきは動揺していただけで覚えていると言ってくれて…………良かった。
そしてもっと親しくなりたいと思った私は姫に「テオドールと呼んでほしい」とお願いしたのだけど、さすがに年の差を気にした姫に断られてしまった……でもテオドール様って呼ばれるだけでも嬉しいので、今はそれでもいいと納得した。
ロザリアはなぜ自分を妻にしたのか疑問に思っているだろうと思って、二年前の時の事を思い出して私の気持ちを伝えた。そして彼女は予想通りの言葉を返してきたのだ。