辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
そんな彼女が庭園を訪れ、庭仕事の手伝いを始めたという話をしてくれた時の事――――
レナルドという庭師がいて、庭仕事の手ほどきをしてもらったと言う。手ほどき?その言葉に思わず反応してしまった。
それよりも私は、そのレナルドという男の存在が少し怪しいと感じていた。庭師はもう少し老齢だったはずだ……後で調べてみるとレナルドという庭師と契約をしていた事は確かだった。でも何か怪しい…………私の勘がそう言っていた。
そしてその男はどういうつもりか、少し声がうわずったロザリアに「奥様はお可愛らしいお方ですね」と言い放った。妻が褒められるのは嬉しいものだが、主がいる前で庭師が妻を可愛らしいだなどと……ますます怪しく思った私はレナルドを執務室に呼んでみた。
ロザリアは私がレナルドに対して怒っているのではと心配していたが……そんなところも可愛いな。
スコーンを美味しそうに頬張る姿には、笑いを堪えられなかった。そんなに好きならスコーンの美味しい店に一緒に行ってもいいな……彼女と二人なら楽しいだろう。想像してロザリアに提案すると、美味しいスコーン屋さんに行けると思ったのか顔を輝かせて喜んでいる…………
こんな天使が私の元に来てくれる日がくるとは、夢にも思わなかった。私は彼女が妻となってくれた幸せをしみじみ噛み締めていたのだった。