辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 本当に自分が情けなくなってしまう…………このような失態ばかりで、テオドール様にご迷惑をかけてしまうなんて。ここに来てから私は欲張りになってしまったのね……リンデンバーグにいた時は、望む事など諦めていたし、誰に対しても何に対しても心が動かなかったから。

 無意識の時間の事とは言え、テオドール様への気持ちが出てしまうのかもしれない………………でもそんな事テオドール様には言えないわ。
 
 
 「では今日から寝所は別々にいたしましょう」



 そうして侍女長に怪しまれながらも私とテオドール様は別々に寝る事になった――――



 ~・~・~・~

 
 一緒に寝る事が当たり前だった事もあって、寝付くのに時間がかかってしまう。テオドール様の元に嫁ぐまでは一人で寝る事が当たり前だったし、親とも一緒に眠った記憶はないのに。


 やっぱり私はテオドール様に随分甘えてしまっているらしい。


 ダメね…………一度甘い蜜を吸ってしまうと、人は弱くなってしまうものなんだ――――気を付けなければ。

 気分転換の為にバルコニーに出て、空を仰ぎ見る。まだ春先なので寒さが気になるから、ショールを羽織って行く。

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