辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
空には銀色に見える月が煌々と輝いていて、辺りが光って見えるわ――――月が銀色に見えるのは綺麗だと思うのに自分の髪色は未だに好きになれないなんて、おかしな話ね――――
でもテオドール様が褒めてくださるから、色々な事が好きになってきている。とてもありがたい事――
あのお方の幸せの為に生きているのだから……しっかりしなくては――――
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翌日、早くから目覚めてしまったので、朝からレナルドさんのところに行って庭仕事のお手伝いをする事にした。
部屋にいても色々と考えてしまうだけ……今朝はテオドール様との朝食もなんだかぎこちなくて、あまり上手くいかなかったわ…………
私は何か間違いを犯してしまっているのだろうか――――
リンデンバーグでは親兄弟姉妹に嫌がられてばかりの存在だったから、何かあると自分が悪い事をしたのではと考えてしまう。
テオドール様なら私にきちんと伝えてくれるはず……誠実なお方だもの。理由が分からずギクシャクしてしまっている事が不安で、その不安を紛らわす為にレナルドさんに話しかけた。
「レナルドさんには、大切な人っている?」
「…………どうしてまたそんな事をお聞きになるんですか?」
「……………………どうすればいいか分からなくて……私は人との距離感とか、人付き合いが全然分かっていないところがあるから……」
「旦那様の事ですか?」