辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 私の相談する人と言ったらテオドール様の事ってすぐに分かるわよね……恥ずかしいけど、身近な男性はレナルドさんしかいないから思い切って聞いてみた。


 「男の方ってどんな事を喜びますか?」

 「え…………っと…………それは私ごときがお答えしていい事なのか……」


 「年齢が近い男性は、私の周りでテオドール様以外はレナルドさんしかいないし、ぜひご意見をお聞きしたくて…………」

 「う――ん…………まずはそのレナルドさんっていうのを止めましょう。距離を縮めるには名前だけで呼んだ方がいいです」


 そういえばテオドール様にも最初にテオドールと呼んでほしいって言われた事を思い出した。やっぱりあの時お名前で呼んでおけば良かったのかしら…………


 「わかったわ……レナルド。これでいい?」

 「素晴らしいですね。では旦那様の名前は?」


 「………………テオドール……様………………」

 「そこは呼び捨てなくては!」

 テオドール…………テオ……テオドール………………


 「……ダメだわ、口にするだけでも心臓が痛くなってしまう」

 「ふふっ奥様にとっては特別なお名前なのですね。焦る必要はないと思いますよ。きっと旦那様はお喜びになると思いますけどね~」


 「………………そうかしら……」


 どうにも自分への評価が低い私は、自分がテオドール様を喜ばす存在になれているのか自信が持てないでいたので、つい口をついてしまう。
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