辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
2度目の出会い
敗戦してから10日ほど過ぎた冬の夜に国王から呼び出しがかかった。
敗戦処理などで我が国はてんやわんやの状態……リンデンバーグの国政にボルアネアが介入してくる事になっているので、お父様は常にピリピリしている。むしろその程度で済んでいるのだから、感謝するべきではないかしら……敗戦国の王族なんて処刑され、国を追われる事も少なくない。
まだ国の管理を任せてくれているだけ、ありがたいと思うべきだわ。でも我が国の王族では、そう考えるのは難しいでしょうね…………皆強欲の塊だし。
国がそんな状態で、お父様が私を呼ぶなんて珍しい事もあるものね…………私は国王の4番目の側妃の娘で、お母様は身分が低かった事もあり、私たち親子のお城での待遇は平民以下の生活だった。
北の塔に半ば幽閉状態で、満足な食事も来ず……
お母様は生まれてきた子供が女の子だった事に落胆してしまって、私の事をいない者として扱っていた。私を見るとここでの嫌な事を思い出すんですって…………自身の身分は低くとも、せめて生まれてきたのが男の子ならお城での待遇も違っていたのでしょう。
そうしてそのまま私が10歳になる前に儚い命を散らして逝ってしまった。