辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
全く物音はしない……人の気配もしないな。そっと中に入り、隅を丁寧に探すと…………高く積み上がった粉の袋と壁の隙間に膝を抱えて座り、眠ってしまったロザリアを見つけた。
暗がりであまり見えない状況だったが、彼女の髪だけが僅かな光にキラキラと輝いていた。こんなところに………………それと同時に彼女をそれほど傷つけてしまったという事に後悔の念が押し寄せてくる。
ロザリアの目には泣いた痕が付いていて、私はロザリアの体を抱きしめながら、何度も彼女の名前を呼んだ。
「ロザリア…………ロザリア………………」
~・~・~・~
ロザリアを見つけて彼女を寝室のベッドまで運び、そっと寝かせる――――泣き疲れたのかぐっすり眠っているな。
「ロザリア……」
私はロザリアの前髪を撫でながら、今日の事を悔いていた。
そこへステファニーが入ってきて、今日の事を謝罪し始める。
「……お姫様が見付かって、良かったわね…………まさか話を聞かれるとは思わなかったわ。私が来たせいでややこしい事になってしまって、ごめんなさい」
「いや、君のせいではない。私が不甲斐ないせいでロザリアにも君にも申し訳ない事をしてしまった…………」