辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

 「……それほど大事なら、きちんと相手に悩みをぶつけた方がいいと思うわ。彼女もあなたの口から聞きたかったのではなくて?」


 ステファニーの言う事はもっともだ、私は話す相手を間違えたのだ。そしてその事で一番大切な人を酷く傷つけてしまったのだ――――


 「ありがとう、そうするよ。これ以上すれ違うのは嫌だし、彼女を失う事は耐えられない」

 「……だから、それをちゃんとお姫様に伝えるのよ!あなたがそんなだから…………まぁいいわ。戦場では敵なしの辺境伯様がお姫様に四苦八苦する姿を見られたって、あのお方に伝えておいてあげる」


 「…………からかうな。アイツに知られたら、また弄られるな……」


 「覚悟しておく事ね。それと私にはあのお方がいるのだから……それもちゃんとお姫様に伝えておいて。こんな事であなたの大切な人に嫌われるのは嫌よ」


 
 私の中途半端な態度が様々な人に悪影響を与えてしまっていた。ロザリアにもきちんと私の考えている事を伝えなくては――――

 

 
 私とステファニーは幼い頃に親が決めた婚約者だったが、私もステファニーもそういう気持ちはなく、でも対外的にそうしておいた方が面倒な事を回避出来るし便利だった事もあって、婚約者のままにしていた。しかし、ステファニーに想い人が出来、私も結婚に興味がなかったのでお互いの為に婚約を解消し、今に至る。


 周りでは私たちの婚約解消を悲劇的に言う者もいるが、お互いにそういう気持ちがないのだからどうでもいいと放っておいた。


 ステファニーは今もずっとその人物を想い続けている。それは私の親友で、アイツは気付いているのか気付いていないのか、のらりくらりしていた。
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