辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
私の幸せ
「テオドール……様?」
「…………ロザリア………………すまない……」
目覚めると目の前にはテオドール様がいて、私は強く抱きしめられていた……これは自分の都合のいいように作り替えられた夢なのかもしれない。そう思うと往生際が悪い自分がまた情けなくて涙が出てくる。
リンデンバーグにいた時は色んな事を諦める癖が付いていて、諦める事は簡単だった。むしろその方が楽で、とても生きやすい。
いつから私はこんなに欲張りになってしまったのだろう――――
テオドール様を諦める事がこんなに困難な事だったとは。
「…………テオドール様………………ごめんなさい。沢山ご迷惑をおかけしていたのですね。それに気付かずにのうのうと過ごしていたなんて……私は自分を許せなくて」
「君が謝る事ではない…………私がちゃんと説明をしていなかった事が原因なんだ」
「いいのです、テオドール様は私に伝えにくかったのでしょう?お気持ちは分かります…………自分がどうするべきかも分かっていますから」
私は両手をぎゅっと握りしめて、下を向く。そこへテオドール様がご自身の手を握りしめた私の手にそっと乗せた。
「……そうやって自己完結しないでほしい。私たち二人の事なのだから、二人で決めるべき事だ。ひとまず私の話を聞いてほしいんだ…………その上で君の考えを聞かせてもらいたい」
「………………分かりました……」