辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 「ああ、城下町で毎年開催されているお祭りで、バルーンを使ったアートが沢山出品される。誰が一番素晴らしいアートを作れるかを競ったりもするんだ。綺麗なバルーンアートの広場もあるよ。」


 「わあ…………それは見てみたいです!」


 リンデンバーグでは、そういったものが開催された事はない。国としての豊かさが違うのだなと感じるわ……自分の人生でお祭りを楽しむ日が来るなんて――


 「夜にはバルーンと共にスカイランタンという灯りを飛ばすイベントもある……恋人たちに人気のイベントだ」

 「恋人たち…………」


 テオ様の”恋人たち”の言葉に思わず反応してしまった……――私たちは夫婦だけど、まだ恋人らしい事をした事はないから。


 チラッとテオ様の方を見ると、同じ事を思っていたのか顔を赤くさせていたので嬉しくなってしまう。思わず隣に座っているテオ様の手に自分の手を重ね、キュッと握ってみた。


 「一緒に回りましょうね」


 「ああ、そうだな…………」


 二人で顔を見合わせて笑うと、一月後のお祭りがますます楽しみになってきたのだった。

 
 
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