嘘を吐く貴方にさよならを
「そこまで緊張するな、さすがに手は出さねぇよ。質問があるのなら答えると言うだけだ」

「…………質問だけなのなら、顔を近づかせる必要はなかったと思います」

「俺が今のお前を近くで見たかったんだよ。おめぇの綺麗な顔をな」

 目を細め、口角を上げ言い切る。
 強気な瞳に、高揚する頬を隠し一華は顔を逸らした。

 照れている彼女を見て、優輝はまたしても顔を近づかせようと近づいた。
 手を伸ばし、彼女の腰に手を回したが――……


 ――――――――ヒョイッ


「あ」

「そう簡単に私を捕まえられると思わないでください。今のはわかりやすいです」

「ちぇ」

 簡単に避けられ、優輝は唇を尖らせそっぽを向く。
 彼の反応に笑いが込み上げ、一華はくすくすと笑った。

 彼女の笑みに、彼も口角を上げ肩を落とす。

「それで、俺に質問はないのか?」

「あ、あるにはあるんですけど…………」

 気まずそうに顔を逸らし、肩にかけている鞄を強く握る。
 彼女の手に、優輝は自身の手を重ね安心させるように優しく微笑みを向けた。

「大丈夫だ。言ってみろ」

 優しく微笑まれ、目を合わせる。
 真っすぐ見つめてくる彼に根負け、小さな声で先ほど朝花に聞いた質問をした。

「黒華先輩の個性の花って、なんですか?」
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