嘘を吐く貴方にさよならを
 気まずそうに質問した一華に、優輝は笑みを消し「やっぱりか」と呟く。

 寝癖かと思ってしまうほどボサボサの黒髪をガシガシと掻き、明後日の方向を向きながら口を開いた。

「そんなことだろうとは思っていた」

「え、わかっていたんですか?」

「あぁ、普通は気になるだろ。この学校で俺の個性の花を知っているのは姉貴だけだからな」

「姉貴……」

 まさかわかっているなんてと、一華は目を逸らす。

「まぁ、それはどうでもいいんだが、俺の個性の花……か。お前になら言ってもいいんだが、なるべく他言無用でお願いしたい。一緒に居た友人にならいいんだが、他の奴に言わないことを約束させる事。そんで、お前も言わない事。これを守ってくれるのなら、教えてやる」

 手を下ろし、優輝は真剣なまなざしで一華を見下ろす。

 彼の表情に一瞬肩を震わせるが好奇心が勝り、小さく一華は頷いた。

「なら、いいぞ。ほれ、俺の個性の花は、これだ」

 言いながら優輝は、シルバーの指輪がはめられている右手を広げ、一華に見せた。
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