嘘を吐く貴方にさよならを
 席を立っていた生徒は自身の席に戻り、騒がしかった教室内が静かになる。

 教卓に立った教師は教室内を見回し、出席簿を置いた教師は、顔にかかっている明るい茶髪を手ではらい、強気の表情を向けた。

「では、これからSHRを始めます」

 響く声を意識し、教師は手に持っていた出席簿と今日使う資料を手に持った。

 一華達が通う2-Bの担任の名前は、侭 朝花(じんちょうか)
 個性の花は沈丁花(じんちょうげ)

 薄紅色の髪をあえて明るい茶髪にし、グレーのスーツを身に纏い、いつも強気な表情を浮かべている。
 そんな彼女は天然発言が多く、表情と言動が合っていないと生徒からは癒し教師と呼ばれていた。

 そのように生徒から呼ばれているとつゆ知らず、いつものSHRが終わり、一時間目が始まるチャイムが鳴る。
 遅刻しないようにと朝花は伝え、職員室へと戻って行った。

 次の授業の準備を終らせ、真理は一華の方へと振り向いた。

「一華。確か、侭先生って、黒華先輩の義姉じゃなかった?」

「あ、そういえば……。弟が大好きすぎて、少し危ない先生って聞いたこともあるかも」

「そっちではあまり有名ではないんだけどね。まぁ、そこはいいや。だからさ、先生に聞いたらいいんじゃない? 義姉弟だったら義弟の個性の花を知っているでしょ? それと、なにか一華について話していないかもついでに聞けるし」

「でもなぁ…………」

「答えてくれるかもわからないんだしさ、放課後にでも聞いてみようよ。聞くだけはタダだよ」

 まだ悩んでいる一華をごり押しをして、真理は放課後に職員室に行くことを約束させた。
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