制服レモネード
「矢吹さっ──」

「……っ」

「あっ、ごめ、なさい」

あんまり必死にスマホを奪おうとしたら、矢吹さんとグッと顔が近くなってしまい、離れてとっさに謝る。

「……順番、きたよ」

優しくそういう矢吹さんは、降参した私の頭をポンと撫でてから、私は矢吹さんの温もりを頭の上で感じながら、乗り物へと乗った。



楽しい時間は本当にあっという間で、スマホの時間を確認すると、時刻は午後2時半。

少し遅めの昼食を園内のレストランでとって。
それからまた少し軽めのアトラクションに乗って。

本当に、久しぶりに叫んで笑って、スッキリした。
矢吹さんも終始笑っててくれて。

少しは矢吹さんのストレス発散にもなれてたらいいな、なんて。

そんなことを思いながら、ただいま、矢吹さんと2人で遊園地のお土産コーナーを見て回っている。

基本的にお菓子やキーホルダーという商品が多いけれど、ぬいぐるみやTシャツまでも、品揃えは充実している。

ママたちにもお土産でお菓子を買っていこう。
そしてもう一つ……。

「あれ、梓葉、それ買うの?」

カゴに入れてたお土産を見て矢吹さんが聞く。

「はい。ママたちにもお土産をと」

「え、それなら俺が出すのに」

「いやいやいや!ここの入場料もお昼まで払っていただいてるので!しかもこれは私が出さないと意味がないんで!」

『学生に払わせるわけには行かないでしょ、』なんて言って、入場料も食事代も途中のソフトクリームの代金まで出してもらったんだ。

これくらい自分で出すに決まってる。

それに、ママやパパにあげるお土産の方がついでみたいなもんだし。
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