制服レモネード
正直、矢吹さんはいつでもおいでって言ってくれたけど、レモネード飲みたさに毎日押しかけるのは迷惑きわまりないと思っていたし、

追試も終わって、デートも終わって、もうこれ以上、ここに来られる口実なんてないんだと思っていた。

「はいっ、じゃあ今度、これ返しに来た時にまた」

矢吹さんから受け取ったCDを両手で抱える。

矢吹さんと、また約束ができた。

嬉しさと同時に、今度はどんな約束を口実に、会えばいいんだろうなんて考えがよぎってしまう。

動機が不純すぎるよ。

「うん、待ってる」

「はい!矢吹さん、今日は本当に何から何までありがとうございました!私の方が寝ちゃって……」

「学生はすぐ眠くなるもんだよ。成長期なんだから。それに、俺の方が絶対楽しんだし。誘ってくれてありがとう」

矢吹さんはそう言って、私の頭に手を置いた。

もう、シンデレラタイムは終わりだ。

とってもとっても楽しかった。
けど、本当はもっと一緒にいたい。

今日一日過ごして、もっともっと、矢吹さんと一緒にいたいって思ってしまった。

でも、出来るだけ子供だと思われたくない自分もどこかにいて。もっと一緒にいたいなんてわがまま言えば、やっぱりガキはめんどくさいなんて思われかねない。

ここは、スマートに。
余裕のある女性で、あるかのように。
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