制服レモネード
まっすぐこちらを見つめる矢吹さんの瞳は、相変わらず、吸い込まれるような感覚に襲われるほどの漆黒の瞳。

ずっと、吸い込まれていたい。
なんてことを心の中で思っていたら、矢吹さんが口を開いた。

「俺と付き合ってほしい、梓葉」

え。

今、なんて?

「はっ、?」

「固まりすぎ。俺なりに誠意を込めて告白してるんだけど、俺のこと好きだって、この間ドアの向こうで言っていたのはもしかして嘘だった?」

矢吹さんがセイイを込めて告白をしているとか、
私がドアの向こうで矢吹さんに「好き」と言っていたのが聞かれていたとか、

全身の毛穴が開いたんじゃないかってくらい、ブワァッと鳥肌が立つ。

「えっと、ちょっと、頭が追いつかなくて、えっと……」

「頭でわからないなら、こうするしかないな」

「えっ、」

矢吹さんは、ぽかんとする私の顎を指でクイッと持ち上げる。

バチっと彼と目が合って、催眠術でもかかったかのように身体が動かない。

なにこれ、こんなに胸がドキドキしたことなんてない。このまま心臓が壊れちゃいそうだ。

だんだん矢吹さんの顔が近づいてきて、私は思わず目をつぶった。

「意味、わかった?」

えっ?
うっすらと、目を開ける。
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