制服レモネード
「でも違った。梓葉の方がうんと大人だ。梓葉に自分のやってることを否定された時、ムカついたのは、あれが全部図星だったからだ。それっぽいこと言って誤魔化そうとしたけど、梓葉は見抜いた。正直、年齢なんて関係ないって思ったよ」

「矢吹さん……」

きっと、あの時の私のセリフには単純にほかの女の人たちへの嫉妬だってあったんだ。

全く女性として相手にされないことが悔しかった。

「スーツなんて着て社会ではそれっぽく歩いてるけどさ、梓葉が思ってるほど、大人って大人じゃないんだ。俺なんて特に」

「わ、私だって、矢吹さんが言うほどしっかりしてないです。自分の都合ばっかり考えちゃいますし、すぐに余裕なくなっちゃうし、全然……」

「ハハッ、」

だんだんと声が小さくなる私の話に、突然笑い出した矢吹さん。

「こういう言い合い、キリないね」

「あっ、そう、ですね……」

「これから先、梓葉となら、いろんな景色見せてくれるんだろうなって、今日一日デートして、余計そう思ったし、梓葉の大切にしてるものは同じように大切にしたいって、思ったよ」

多分全然違うタイプで、でもどこか似てる部分も多くて。私だって、矢吹さんとこれから先、ずっと一緒にいたいし、矢吹さんの大切にしているものはうんと大事にしたい。
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