制服レモネード

「ひ、一人じゃ不安っていうか……」

「はぁ?まて梓葉出んの?」

龍ヶ崎くんの縮こまっていた背筋が伸びる。

「え、うん。一緒に出て欲しいって話だよ」

「どこがだよ。まるで俺一人出る流れだったぞ」

「あれ?そう?」

私がそういうと、龍ヶ崎くんはため息混じりに「ったく」と呟いた。

「まぁ、梓葉がどうしても俺と出たいって言うなら、考えてやってもいいけど」

「え!本当に?龍ヶ崎くんと出たいです!」

私がそう言うと龍ヶ崎くんは「しょうがねーな」と言いながら、少し意地悪な笑みをこぼした。





「え、ちょっと待って。龍ヶ崎とファッションショーに出ることになったぁぁ?!」

教室に帰って、事のいきさつを結衣に説明すると、飲んでいたカフェオレを吹き出しそうになりながらそう言った。

「……あんなに必死に頼まれたらやってみようかなって思っちゃって」

「いや違う。アズが出ることには何の反論もないよ。ただ、あの男」

「龍ヶ崎くん?」

結衣の目の色が変わった。

結衣はなにかと龍ヶ崎くんを目の敵にするなぁ。見た目はああだけど根はいい子なのに。

「ほかに誰がいんのよ。ちゃんと彼氏がいること話したの?」

「あ……」

「あってアズあんたね〜。思わせぶりな態度取られたとかあとで逆恨みされたらどうすんのよ〜」

逆恨みって……龍ヶ崎くんはそんなことする人じゃないよ。

それに、さっきだって好きな人いるんだろってちゃんと私の発言に注意までしてくれた。

逆に、この間のデート発言の方がただの気まぐれで、本人も覚えてないくらいの冗談だったんだとあの様子を見てわかった。
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