制服レモネード
「うわ、ウエスト細いね〜梓葉ちゃん」

「ほんっと!これなら去年出せなかったアレも着られるんじゃない?」

ファッションショー出演が決まって数日後、服飾部の生徒さんと被服室に集まる。

今は、衣装のデザインを一通り終えた服飾部の生徒さんに身体のサイズを測ってもらっているところ。

龍ヶ崎くんはというと、男子部員と一緒に別の部屋でサイズ合わせを行なっている。

サイズ合わせなんかまためんどくさいとかいうかと思ったけど、意外にもすんなり受け入れてくれた。

「去年出せなかった衣装っていうのは?」

「ふふ。ウェディングドレス」

「ウェディングドレス?!」

思わず大きな声になってしまう。

だって、ウェディングドレスなんて女の子なら誰もが憧れるドレス。

矢吹さんと会うまで恋とは無縁だった私でさえ胸がキュンとなっちゃうよ。

「あ、でもあれか〜。未婚の女性がウェディングドレス着たら婚期遅れるっていうし、無理にとは言わないけど……」

部長の鈴木先輩がそういうと、ほかの部員の子が「それただの迷信でしょ〜先輩そんなの信じているんですか〜」なんて言った。

「いや、私っていうか、梓葉ちゃんは気にしないかなって」

初対面のとき私のことを『岡部さん』と呼んでいた鈴木先輩に『梓葉ちゃん』と呼ばれるのは嬉しくてくすぐったい気持ちになる。

「私は全然大丈夫です!ただ、そんな素敵な衣装を私が着てもいいのかなって」

「いいんだよ全然!むしろ梓葉ちゃんに着て欲しい」

「あ、ありがとうございますっ」

気さくで優しい人たちばかりでよかったと心から思う。
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