制服レモネード
「どうしたよはまやん、怖い顔して」

「っ、俺、見てしまった」

眉間にしわを寄せて悲しそうな顔をする濱谷くん。一体何を見たっていうんだ。

「矢吹さんの、浮気現場」

っ?!

今……なんて??

「はぁ?バカなこと言うなよ。あるわけねーだろ。そんなことあったらタダじゃおかねーよ」

と結衣の口調が強くなる。

「いや、まじで見たんだって」

濱谷くんの言葉に、持っていたスマホの画面に再び目を向ける。

いや、嘘でしょ?

でも……。

最近忙しくて時間が取れないこと、よく鳴る職場からの電話、そして、今日もらったこのメッセージ……。

いや、そんなことあるわけない。
決めたじゃん。矢吹さんを信じるって。

「アズ、どうせはまやんの見間違いだから……」

「見間違いじゃねーよ。ちゃんと見たんだよ。女の人と立ち飲みしてるところ。そのあとそのまま一緒にタクシーに乗って……」

ドクンと、心臓が嫌な音を立てた。

あれから、結衣は何度も「絶対なにかの間違いだ」って言ってくれて、

濱谷くんは少し申し訳なさそうに「アズが後で知って傷つくよりは今教えてあげた方がいいと思ったんだ」と複雑そうな顔をしながらそう言った。

矢吹さんと会えない時間が増えて、こういうことがよぎらなかったと言えば嘘になる。

もともと、毎日のように違う女の人たちを家に連れ込んでいたという事実もある。

やっぱり、私が子供で魅力がないから?

まだ本人の口から何も聞いていないのに決めつけるのは良くない。

そんなこと分かっているけど……。
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