制服レモネード
今、私たちがいるのは大学のすぐ近くにある自然公園。
とても広い芝生が広がっていて、その周りにいくつかベンチが設置されている。
「ん」
「あ、ありがとう……」
龍ヶ崎くんに差し出されたペットボトルのお茶を受け取る。
龍ヶ崎くんは、コーヒーの缶を開けるとグビッと一口飲んで、私の座ってるベンチの隣に腰掛けた。
「飯、ちゃんと食ってんの」
「えっ?ご飯?」
龍ヶ崎くんの口から意外なセリフが飛び出して思わず聞き返してしまう。
この流れてっきり、何かあったのか、なんて問い詰められるんだと思ってた。
「梓葉、明らかに痩せたろ。衣装、今になって計り直しとかできないんだからな。ちゃんと自己管理しろよ」
「あれ、そうかな。……すみません」
体重管理なんて全然考えてなかったよ。
龍ヶ崎くんのことファッションショーのモデルに誘っておいて、自分がこんなんだもんなぁ、本当にダメだ。
「なんでそんな暗い顔してんの」
「えっ、あっ……」
もう全然、ダメなんだ。
うまく言葉が出てこない。
あのメッセージ以降、矢吹さんからは全く連絡がこなくて、頭の中はショート寸前で。
「好きなやつとなんかあった?」
「……っ、」
龍ヶ崎くんはやっぱり優しい。
実は友達想いのいい人だから、それを知ればみんなきっと龍ヶ崎くんを大好きになるのに。